橋を渡り終えて少しすると、地面の踏み心地が違ってきたことに気づいた。
サクサクと踏みしめるのは真っ白な雪!
どうりで寒さが増したと思った…と腕を摩っていると隣から鼻歌が…
ルシアンは寒さに強いのか雪が好きなのかご機嫌の模様…
寒い寒い言いながら黙々と歩く4人。
途中、クモや盗賊に襲われながらもやっと見えてきたのは、緑の旗が掲げてある町「モーサル」だった。
間違いなくここがモーサルよ。
リリの探し人が見つかるといいわね。
町に入ると、すぐにガヤガヤと人の声が聞こえてくる。
自分の家の中でどうやって安全だと思えというのか?
少し離れたところで聞いていると、彼らは住民のようで何かに怯えているようだ。
その不安をどうにかしてくれと首長に抗議をしているみたいだけど、窓口の男は適当にあしらって中に入っていってしまった。
残された住民たちはそれ以上どうしようもないのか、「我々にウィザードなど必要ない」とか「モーサルは問題だらけだ」など口々に言いながら散っていく。
どうやらこの街も色々な問題を抱えているようだ…
人を探しているなら、まず住民たちに聞いてまわらないとね。手伝うよ。
オーリが一緒に探してくれるというので、ヴィリヤとルシアン、リリとオーリに分かれて探すことに。
「それで、その探している彼の名前はなんていうんだ?」
「うーん…それが…ちゃんとした名前は知らないんだよね。。男か女かも…不明…」
「えー?!そんなのどうやって探すのよ!?まいったわね…
うーん…じゃあそのリリの友人の名前は?その彼を知っているかどうかを聞けば手掛かりになるんじゃない?」
ヴィリヤがそう言うとリリはまた困った顔をして「名前か…彼の名前は、、ジョーカー…って呼ばれてただけ…」と答えた。
「呼ばれてただけって…まさか本名は知らないと?」驚いて尋ね返すルシアンに、リリは「(∀`*ゞ)ヘヘヘ」と笑う。
それを見た三人は同時に深いため息をついた。。
だけど親友ならニックネームもわかってるかもね。望みはあるんじゃない?
オーリのその言葉にリリも「だよねだよね!」と同意し、じゃあとりあえず「ジョーカーって知ってます?」作戦で行くことに決定。
そして二手に分かれ住民への聞き込みを開始した。
とりあえずその辺を歩いてる住民や衛兵に声をかけてはみたが、全く情報がない。
ヴィリヤ・ルシアンチームと再び合流し、「こういう時はやっぱり宿屋で聞き込みだな!」という意見が一致したので向かうことに。
ムーアサイドへようこそ。何か用があれば言ってください。お客様が来るのはうれしいですね
モーサルの宿屋「ムーアサイド」に入り、主人と思われるジョナという女性に声をかけた。
「ジョーカーって名前に心当たりはない?」と同じ質問をしてみたが、やはり彼女の答えも「そんな人知らないわね」だった。
仕方なく再び外に出て「ここじゃないのかも…」と肩を落としているリリの横を二人の子供が走り去っていく。
まさか”親友”というのが子供だとは思えない。だけど、何か知っていることがあるかもしれないと一応聞いてみることに。
「ジョーカー?それが名前なの?うーん…知らないわ」
そう言う少女に、「じゃあ、お父さんかお母さんが知ってる可能性はないかな?」と再び質問。
すると…
お母さんとお父さんは何年も前に死んだわ。今はファリオンが面倒を見てくれているの
「そうだったんだ…ごめんね辛いこと聞いちゃって。。
んー…じゃあ、そのファリオンって人はどこにいるの?
ちょっと聞きたいことがあるんだけど…?」
リリがそう尋ねると、アグニと名乗った少女は「うちにいるわよ。案内してあげる!」と手招きしながら走っていった。
「ここよ!」と教えてくれた家に入ると、奥のほうから声が…
買い物が目的なら、呪文の在庫は豊富にある。中へどうぞ
どうやら自分たちのことをお客だと思っているその人物に、「いや、客ではないんだけど…」と言いかけると、その男は急に不機嫌な声になりまくし立てた。
「子供を生贄にしているとか、死者の心臓を食べているとか非難するつもりなら、話すだけ無駄だから黙ることだ。
そんなことはしていないし、そのつもりもない。ただ平和な暮らしを望んでいるだけだ」と。
「いやいや、ちょっと待って。そんなことは思ってないし、ここには聞きたいことがあって来ただけだから」と説明すると、ファリオンはゆっくりと振り向き怪しさ満点の眼差しでこちらをじっと見つめてくる。
かなり異様な雰囲気に気おされて何も言えないまま立ち尽くしているリリを見て、彼は突然「ははははっ」と笑いだした。
突然笑い出したかと思ったら名前を呼ばれてビビりまくる4人。
これは…下手したら閉じ込められて殺されるかもしれないという恐怖が、足を自然とドアのほうへと向かわせる。
「な、な、なんでその名前を…?(;´∀`)」
少しずつ後退りながらも、とにかく刺激してはまずいと思い引きつる笑顔で対応。
するとファリオンは驚くような言葉を口にした。
これまた突然の言葉に思考回路が停止したリリ。
何も言葉が出てこず呆然としていると、ファリオンが笑いながら言った。
「あいつの言ったとおりだったな。俺はこんな所まで辿り着くわけないと言ったんだが。いやいや、まさか本当に来るとはな!」
そこまで聞いてようやく事態を呑み込めたりり。今度はこちらがまくし立てる番となった。
「どういうこと!?彼は生きてるの!?」
「ふふふ」と相変わらず怪しく笑いながら、ファリオンは驚愕の事実を話しだす。
ジョーカーがここへ来たのは3日ほど前だという。
突然の来訪にとても驚いたファリオンだったが、約三年ぶりの再会に二人は大いに喜び、朝まで飲み明かしたんだとか。
そのままジョーカーはここに一泊し、次の日リフテンへ向かったという。
リフテン?なんでそこに?ここから近いの?
リリが矢継ぎ早にそう問うと、ファリオンは「リフテンにはお前たちの仲間のギルドがあるのさ。聞いたことないのか?まぁ、近くはないな…追いかけるなら馬車で向かったほうが賢明だと思うぞ、ほら」と4人分の馬車代を渡してきた。
そして、リリという少女が自分を尋ねてくるだろうから、来たらリフテンへ来るように言ってやってほしいと伝言を頼まれ、モーサルからリフテンまでの馬車代も置いていったのだという。
「まぁ、お前の馬車代しかもらってなかったがな。残り三人分は俺からの餞別だ。馬車で行くと言っても危険な旅には変わりない。スカイリムは山賊やノラの盗賊で溢れてるから気を付けていけよ。そしてジョーカーによろしく言っといてくれ。」
リリはファリオンにお礼を言うと「じゃあ、馬車でリフテンまで行こう!」と外へ飛び出し早速御者にリフテンまで連れて行ってくれるように頼んだ。
リフテンが初めてなら、ブラック・ブライアのハチミツ酒醸造所は外せないよ。何杯か飲めば、長旅の疲れも吹き飛んでしまうからね
馬車で向かう間、御者はリフテンについて色々な話を聞かせてくれた。
盗賊ギルドが落ち目になっているらしいことや、ブラック・ブライアのハチミツ酒は最高だがメイビンには気を付けたほうがいことなどなど。。
リリ達の乗った馬車は、運が良かったのかファリオンが言っていた山賊や盗賊に襲われることもなく無事にリフテンへと到着。
が、その距離は確かに遠く、着いたのはモーサルを発ってから2日後だった。
馬車を降りた4人は早速門へと向かう。
門は固く閉じられており両サイドに衛兵が2人。
早くジョーカーに会いたいと焦る気持ちを抑えながら門を通ろうとすると、すぐに衛兵に呼び止められた。
リフテンに入りたいのなら、訪問者税を払ってもらう
そんな税金あるの?と訝し気に衛兵を見ながら「それって何のための税金なの?」と聞くと、「この街に入るという特権のためだ。問題ないだろう?」と衛兵はニヤニヤしながら言ってきたのだった。
顔をしかめるリリ。さぁ、どうする?