ジョーカーとの再会、そしてドーンガード砦への道

ジョーカーを探してリフテン監獄まで出向いたものの、そこにいたのは彼ではなかった。
青みがかった毛に額に三本の傷、そしてなぜかパンツ一丁という出で立ちでそのカジートは静かに椅子に座っていた。

その姿になんだか興味がわいたリリは、握りしめていた鍵を使い彼に近づく。

俺を殺しに、ついに来たってわけだな?神よ感謝します。もう罪を背負わなくてもいいのだから。

カジートはどこか視点の定まらない瞳でこう言った。

一体何を言ってるんだろ…?と思っていると、彼は続けて「俺は死ぬべきだとは理解している。だが用心してくれ。俺の胸中に芽生えた名誉が、自分を守れと言って聞かないんだ」と話し続ける。

どうもこちらのことを知っているような口調で話す彼に「私のことを知ってるの?」と聞くと、今度は「今は冗談を言う気分じゃない。俺を襲え!復讐を果たせ!」と…

このカジートはメモにあった通り、本当に少し混乱しているんだなと感じたリリは黙って彼の話を聞くことにした。

このカジートはリリのことを仕事仲間だと思っているようで、そして私のことを”殺したんだ”という。

「おまえは記憶を失ってるんだ。俺はイニゴだ、お前の友達だった」とまで言われ、事の発端から話す必要があると彼は続ける。

彼が言うにはこうだった。

彼とリリは、デュパンという人物から請け負ったとあるの仕事の場で出会った。
その仕事内容はデュパンの兄弟たちを殺すこと。
その仕事を終えたとき、もし、どちらか一人しか戻ってこなかった場合は戻ってきた方に2人分の報酬を与えると約束されたという。

イニゴは当時スクゥーマ中毒になっていて、その借金もあったからその報酬欲しさにリリを殺した…ということらしい。
しかしデュパンは彼の妹に殺されてしまったため結局報酬はもらえなかった。
イニゴはリリのことを尊敬していたという。友達だとも思っていたと。
そんな相手を報酬のために殺してしまった自分が許せず、良心の呵責に苛まれ、殺されることだけを望んでいたようだ。

それで、イニゴは今もスクゥーマ中毒なの?

そう聞くとイニゴは頭をふり「もうやめたよ」とつぶやく。

その言葉が本当かどうかわからない…いや、今の話を聞く限りではどう転んでもマトモだとは思えない。
もし今はやめていたとしても、きっとまだ体の中にスクゥーマが残っているのかもしれない。

本当はさっさとここを出ていくべきかもしれないけれど、「さあ殺してくれ!」という彼を見ていてリリは胸が痛んだ。

ジョーカーと共に盗賊団にいたときも、スクゥーマ中毒で苦しんでいる者がいた。
仲間はどうにかして彼女を助けようとしていたが、呂律の回らない口から吐かれる言葉は猜疑心と暴言だけ。

そのうち彼女は仲間のことを敵だと思い始め攻撃までしてくるようになった。
それでも仲間は見捨てたりしなかった。必死で落ち着かせたり宥めたりしながら騙し騙しの日々が続いた。
ずっとおかしかったわけじゃない。まともな日もあった。
そういう日、彼女はしくしく泣くのだ。謝って泣いて謝って泣いてを繰り返す。

そしてある日の朝、彼女は自分たちの根城からそう遠くない山の中で息絶えているのを仲間の一人が見つけたのだった。
だからわかる。スクゥーマ中毒がどれほどつらいか。
もちろん周りも大変だけど、一番つらいのは本人だ。
そして一瞬でもまともな思考になった時、それは耐え難い地獄になるんだろう。

そこまで考えてリリは決めた。

イニゴは「お前を守って死ぬというのはいいな!少し心が軽くなった!」と目を輝かせた。

テーブルの上にはイニゴに関係するものがいくつかおいてあり、「Mr.ドラゴンフライ」と名付けられたトンボと「無口のネックレス」をとりあえず持っていくことに。

「勇者イニゴ」と書かれた本を読んでみると、あらびっくり!なんとゲームブックになっていました。
これはイニゴが書いている本のようで、手に取った後に話しかけると「渡してくれ、落ち着けるところで読んであげるよ」というセリフが。
え?読んでくれるの?!とテンション上がりましたが、本当に読んでくれるのかな…??楽しみです♪
そして「イニゴの日記」ですが、内容はイニゴがスクゥーマ中毒でおかしくなっていく様が詳しく書かれています。
気になる方はぜひ「INIGO」をDLして楽しんでくださいね♪

イニゴが仲間になると決まったところで、すぐにルシアンが挨拶を始める。

会えて嬉しいよ、イニゴ!すごいチームになれそうだな

続いてヴィリヤとオーリも「はじめまして。よろしくね」と声をかけはじめると、イニゴも嬉しそうにそれに応えている。

はじめまして、ヴィリヤ。お互い上手くやっていこうじゃないか

だけど、とりあえずは…イニゴの服が必要だね

それなら任せてくれと名乗りは上げたのは…やはりルシアン!

「着替えとしてもう一着持ってきてるんだ。しかもこっちは戦闘にも対応しているからイニゴにぴったりじゃないか?」と。

「それはありがたい。感謝する」と言い装備を一式受け取ったイニゴはすぐに着替えた。

リリは衛兵に「私の知り合いだから連れて帰っても構わないか」と聞くと、きっと衛兵たちもイニゴの対応に困っていたんだろう、あっさりと「さっさと連れてけ」と監獄のドアを開けてくれた。

外に出た時にはすでに深夜で、街は静まり返っている。
気乗りはしないが今夜はこの街の宿に泊まり、明日またジョーカーを探そうということになった。

そうして宿屋に向かう4人だったが、「ビー・アンド・バルブ」はもう目の前…というところでリリの足が止まる。。

…え?

…あれって……

…もしかして……

リリが進むごとにランタンの灯りがあたりを照らしていく。

そして、目の前の人物が浮かび上がった時、彼がこちらを向いた。

ファリオンからジョーカーがリフテンで待っているという話を聞いてここまで来たリリだったが、心のどこかではまだ半信半疑だった。

まさか、ほんとにほんとにほんとに生きてたなんて!

「ジョーカー!!!」と叫ぶと「よかった!本当によかった!」と彼に抱きついた。

ジョーカーはそんなリリを嬉しそうに受け止め「くふふ、やっぱりちゃんと来たね。絶対に会えると思ってたよ」と目を細める。

「仲間もたくさんできたようで安心したよ。私たちは君のことを少し甘やかしすぎていた。
心配だからと訓練ばかりさせて仕事にも連れて行かなかった。
あんなことになるのなら、もっと早くから外に出して実践を積ませておくべきだったと悔やんでいたんだよ。」

そう申し訳なさそうに言うと、「だけど、こうしてまた会えた。本当に良かった」と頭を優しく撫でたのだった。

「本当によかったわね、リリ…」と涙ぐんでいるヴィリヤたちに向き直ったジョーカーは「ありがとう、リリの仲間になってくれて感謝している。この子がここまで来れたのは君たちのお陰だ。本当にありがとう」と頭を下げた。

「そんな、こちらこそ助けてもらってるわ。…とりあえず、宿屋にいかない?立ち話もなんだし…」と提案するヴィリヤに、ジョーカーは困った顔をして「いやあ、そこの宿屋は私は入れてもらえなかったんだ。カジートは嫌いらしい」と笑い、「ヘルガの宿舎のほうに行こう、あそこに泊まってるんだ」と言う。

宿舎の中には誰もいなく、寝静まっているようだった。

ジョーカーが「料金は払ってあるから、好きに飲み食いしてくれて構わないよ」と言うので、それぞれに用意されていた食事を楽しむことに。

そこでリリはジョーカーにあの日から今日までの話を詳しく聞くこととなる。

あの日、山賊に襲われリリを逃がした後、ジョーカーは残った山賊たちの相手を余儀なくされた。
普段であればすぐに終わらせられるような相手だったが、最初に受けた背中へのダメージが思いのほか深く手間取ったらしい。

火炎魔法で応戦していたのだが、手加減するつもりがつい力が入ってしまい、しかも少し逸れてしまい、、根城に直撃。
そしてその炎は自分の服にも燃え移り、仕方なくローブは脱ぎ捨てた。

山賊たちの中に一人だけ隠密を得意とする者がいて、なかなか最後のその一人を倒すことが出来なかったジョーカーは、このままではリリが戻ってくるかもしれないとその場を離れた。

背中に負った傷からの出血が激しく意識が朦朧としてきた時、ジョーカーは足を踏み外し崖の間下へと転落。
運よく木々の間に落ちたことで重傷にはならなかったが、訓練場に戻るには時間がかかってしまった。

戻った時にはリリの姿はなくどうしたものかと考えたところで、スカイリムにいる親友のことをリリに話したことを思い出したジョーカーは、きっとリリなら私の親友を尋ねるはずだと思ったんだという。

傷の手当てを済ませスカイリムに向かうと、すぐにファリオンのもとへと急いだ。
しかし、そこにリリの姿はなくファリオンはそんな奴は来てもいないという。

どちらにせよ、自分たちのリーダーが亡くなったことをリフテンの盗賊ギルドに知らせなければいけなかったジョーカーは、ファリオンにリリのことを話した。

そして、彼女が訪ねて来た時にはリフテンへ向かうように言ってくれと頼んだ…ということだった。

そこまで話すと「さぁ、今日はもう遅い。そろそろ休もう。」と言い「くふぁあぁ」と大きなあくびをした。
すでにルシアンとオーリは眠ったようで姿は見えない。
リリは「そうだね、おやすみ!」と二階へ上がっていった。


次の日、リリが一階へと降りてくるとすでにヴィリヤは起きていてジョーカーと朝食を食べている。
イニゴも近くで話を聞いているようだ。

3人に「おはよう~」と声をかけると「おはようリリ、今これからのことについてヴィリヤとイニゴに相談してたんだが…」とジョーカーが話し始めた。

リリ、急ぎの用がなければドーンガード砦へ向かって欲しいんだ

リリ

ドーンガード砦?
…あー…そういえば、どっかの衛兵が吸血鬼ハンターがどうのって言ってたような…

…って、、吸血鬼ハンター!??
え…?ジョーカー本気?吸血鬼ってあの吸血鬼?!

突然の申し出にしどろもどろになるリリを横目に、ヴィリヤが続ける。

「なんでも、改編しているリーダーと知り合いなんですって。
それで吸血鬼退治に参加してくれる人を探してるらしいんだけど、なかなか見つからないらしいのよ。
それで私たちにお願いできないかって…」

「だって吸血鬼となんて戦ったこともないよ?…まぁジョーカーがいるなら大丈夫だろうけどさ…」

そう答えるリリにジョーカーは静かに首を振る。

すまない。事情があってね…僕はドーンガードの一員として動くことはできないんだ。
出来る限り裏から支援するつもりでいる。
無理にとは言えないが、、行ってくれると非常に助かる。

冗談でしょ?ジョーカーいないのにそんな奴らとまともにやりあえるわけないじゃん!

興奮気味に話していると、ルシアンとオーリが「どうしたんだ?」という顔で二階から下りてきた。
事情を説明すると、オーリは「いいじゃない、行きましょうよ」となんだか少し嬉しそうだ。
ルシアンはルシアンで「吸血鬼か!とても興味深い!」と、こちらも行く気満々…のようだが少し考えたあと「そういえば、すっかり忘れていたが…」と続けて

ホワイトランの首長にヘルゲンでの出来事を知らせないと。みんなが危ない

その言葉でリリもすっかり忘れていたヘルゲンでのことを思い出した。

……しまった…そういえばリバーウッドでアルヴォアに頼まれていたんだった…( 一一)
しかもすでにあれから数日経っている…ヤバイ…どうしよう…と思ったところでピコンと閃いた!

そうそう!そうなんだよ!
ホワイトランに報告しなきゃいけないからさ~
吸血鬼退治はちょぉっと無理かな~~へへへ

リリが顔を引きつらせながらそう言うと。ジョーカーはまた「くふふ」と笑い「それなら私が行ってこよう。ドラゴンの報告をするだけなら、お前の代理で来たと言えば何も問題はないだろう」と言い出す始末。。

…くっ…何も言い返せない…

ヴィリヤも「そうね、報告は誰でもできるけど吸血鬼退治となると人を選ぶものね」と言う。

「でもでもでも…ほら!ヴィリヤもエルダーグリームに行かなきゃいけないんでしょ?早く向かったほうがいいよね!?」と畳み掛けたが、、「うーん、まぁそうなんだけど、でもここまで来たらもうそんな急ぐ旅でもないしね。私のほうは後回しでいいわよ」と返されてしまった。

この雰囲気…もう絶対に行くしかないじゃない…と大きなため息を一つ吐く。

「わかった、わかったよ、行けばいいんでしょ行けば!死んでもしらないからね!」と言うリリに、イニゴは「お前のために戦って死ねるなら本望だ!」とニコニコ顔、、オーリは「やったぁ~!」と嬉しそう、ルシアンも「では早速持っていくものリストを作らなければ!」と張り切り、ヴィリヤは満足そうに笑っている…

そんなみんなを横目に、このチーム…かなり危険かもしれない…とリリはまた一つ大きなため息を吐いたのだった。

では、私はすぐにホワイトランに向かうとしよう。
……それと、、一つ守ってほしいことがある。
どんな理由があってもドーンガードの奴らに私の名は出さないでくれ。
私と知り合いだとわかった瞬間、彼らは君たちを拒否するだろう。

一体、彼とドーンガードにどんな因縁があるんだろう…

ジョーカーとはリリが赤ん坊の時からの付き合いだが、よくよく考えると彼のことはほとんど知らない。

所属していた盗賊団”キャットタワー”の中で、彼が誰よりも魔法が得意だという程度の認識しかしていなかったが、思い返せば仲間の中でもかなり異様な存在だったことは確かだ。

盗賊なのに魔法が得意で、仕事に向かうこともほとんどなかった。その日々はほとんどリリのお守りをしていたといっても過言じゃない。

そしていつも背負っている重そうな棺…

一度、その棺はなんなのかと聞いたことがあるけれど、彼は笑いながら「魔法使いは荷物が多いからカバン代わりに使ってるんだ」と言っていた。
幼かったリリはその返答になんの疑問も持たなかったが、今思えばなんだかおかしな話だ。

そんなことを考えていると、ジョーカーが「そうと決まれば早速向かうとしよう」と席を立った。
ジョーカーの話によれば、ドーンガード砦はリフテンからそう遠くない場所にあるという。

リフテンを出ると、彼はリリに一つの呪文を教えた。

「助けが必要な時はこの呪文を唱えるんだ。お前の元へすぐに行くことができるからな」と……

ゴメン、チョットナニイッテルカワカンナイッス…….

ジョーカーはくふふと笑うと、「忘れるなよ?ではまた近いうちに会おう、気を付けてな」と手を振り、ホワイトラン行きの馬車へと乗り込んだ。

彼を乗せた馬車が見えなくなると、イニゴが「さて、じゃあ行くか!」とみなに号令をかける。
5人は不安と緊張を胸にドーンガード砦へと向かった。


ジョーカーは自作のカジートフォロワーです。
ずんぐりむっくりの小さなカジート君が欲しくて作りました。
着ている装備は、ローブが「Colorful Magic by 184Gesu SE」、手と靴が「Apachii Divine Elegance Store」、帽子・片眼鏡・棺は「Zenithar Workshop SE」からお借りしています。
どの装備も本当に素晴らしく、個人的に必需品のMODでおすすめです!
そして、何気にイニゴの装備を探すのに思いのほか時間がかかった。。
なんかこうピタッと来るものがなかなか見つからず、やっと探し当てたのがSSの装備でした。
凝ってるデザインでとても気に入ってます♪

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